マルクス主義と全体性

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『マルクス主義と全体性―ルカーチからハーバーマスへの概念の冒険
マーティン・ジェイ 荒川幾男他訳 国文社 1993


本書は、一人の歴史家によって書かれたものであるが、過去のある事象についての「決定的」な著作という資格を要求するものではなく、その論ずる諸問題に関するあらゆる今後の議論を前もって封ずるものではない。そうではなくて、本書はそれら諸問題に関する現に行われている論争に一つの寄与をしようとするものである。(p26-7)

多くの批判者が主張するように、もし全体性が終結と死を意味し、差異と欲望と非同一性の終焉を意味しているのであれば、〔それと同じ程度には〕世界の破滅の脅威は、我々がこの全体というものにいっそう真剣に取り組むことを要求しているのである。(p842)