スピノザ

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 『スピノザ―力の存在論と生の哲学
 秋保亘 法政大学出版局 2019


 実在するすべてのものにかんして、その実在の原因・理由を見出すことができ、原理的にはすべてが説明可能、知解可能なのである。スピノザにおける必然性とは、すべてのものの説明原理であるとともに、すべてのものの唯一の様相、すべてのものがとりうる唯一の存在のありかたにほかならない。そして私たちは、『エチカ』が理解させようとした存在の内実を、結果を必然的に産出する原因であることに見定めた。この存在の力動性、その背後にいかなる基体をも持たない純粋な産出的活動性としての峻厳な現実―これはしかし生そのもの以外の何だというのか。(p170)