芸術の設計

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 『芸術の設計―見る/作ることのアプリケーション
 岡崎乾二郎編著 フィルムアート社 2007

 すべてのものを無時間的な場(共時性)の上に並列するという一般的な理解とは反対に、引用、コラージュ、モンタージュとは、歴史を作り出す操作そのものである。引用という操作によってこそ、引用される対象すべては、すでに完結した(不可逆的な)対象、つまり歴史的な対象として現れる。 引用、コラージュによって持ち込まれる不可逆性、不可侵な階層性、順序構造つまり歴史。しかしここで注意しなければならないのは、この不可逆的な出来事は、もともとの対象に包含されていたプロセスではない。コラージュ、編集という操作によってこそ不可逆性が作り出された。つまり不可逆な出来事、行為とは、ここで行なわれたコラージュ、編集という操作、行為それ自体であり、歴史を編纂する操作それ自体だった。歴史はこの「不可逆的」操作によって、はじめてブラックボックスとして「すでに」完結したものとなる。(p52-3)