現代社会学の諸相

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 『現代社会学の諸相―社会学理論への補遺
 フランクフルト社会研究所 山本鎮雄訳 恒星社厚生閣 1983


 イデオロギーはもはや世界のヴェールではなく、脅しの素顔である。宣伝との関わり合いによってだけでなく、みずからの本性によって、イデオロギーはテロに変っていく。しかし、イデオロギーと現実とはこのようにして互いに合流しあうので、また現実は、信服させるに足る他のいかなるイデオロギーも持ち合わせていないため、みずからがイデオロギーとなるので、圧倒的であると同時に空虚である仮象をきれいさっぱり投げ棄ててしまうには、精神のほんの僅かな努力で足りるであろう。しかし、この努力は何にもまして困難なことのように思われる。(p211)