緑の眼

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 『緑の眼』
 マルグリット・デュラス 小林康夫訳 河出書房新社 1998


 映画をつくる理由とそれを見る理由とは同じではないと思うわ。親しい友人でわたしの映画は見に行かない人たちがいるわ。かれらはほかの監督の映画は見に行くんだけど。そういう人たちはわたしの本は全部読むんだけど、わたしの映画は見に行かない。わたしにとっての映画をつくる理由をかれらは見ないわけよ。必要ないってかれらは言うの。わたしもまた、自分がつくる映画のそれぞれに、必要ないって思う。 でも、つくる必要がない映画をつくることもまたできるのよ。(p142)