鈴木正三道人全集

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『鈴木正三道人全集』
 鈴木鉄心編 山喜房仏書林 昭和37


徳川直属の武士として、表面切つては、関ヶ原の役にも、二度の大阪の陣にも従軍してゐるから、恐らく充分に羽ぶりのきいた筈の武士重三が、四十二歳、切腹、お家断絶を覚悟の上で出家したのであるから、七十七歳の全生涯の内。その後半生は、只事では終らなかつた筈です。果してその求道は熱烈で、その人を接するにも、只、死ね〱と責め立てる家風であつた。こゝからして一般に、正三道人の禅風を仁王禅といひ、その念仏を果し眼の念仏といわれてゐます。(p2)