世界の怪獣

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『世界の怪獣』
 沼田茂 大陸書房 昭44


貘―バクと読む。夢を食う動物である。もちろん、中国人の想像した怪獣であった。鼻はゾウ、脚はトラ、尾はウシ、体型はクマに似ている。悪夢を食うというので、厄除けの護符に、その姿が描かれていた。ところで、マライの奥地で、これにそっくりの珍獣が発見され、バクと命名された。この実在のバク、鼻は確かに伸びているが、他は想像上の貘には、あまり似ていない。しかし、そんなことは、関係ない、のである。人々は夢を求めている。怪獣が実在してくれないと、楽しくないのである。(p282)