火の道具

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『火の道具』
 高嶋幸男 柏書房 1985


 ところで古代以来の発火具という研究対象をどうとらえ、分析するかという研究の方法が問題となる。 私は、10年ほど前の数年間、岩城正夫氏と共に種々の発火法について復原実験的研究を行った。火を起こすことが道具使用行為である以上、道具(大きさ・細工)とその使い方に法則的なものが存在しないはずはない。だれでも容易に火を起こせる条件とは何か、それを解明することであった。この復原実験的研究によって、種々の発火法における実用的な発火具であるための条件が明らかにされた。これはまた、出土発火具や火鑚習俗などの発火技術(発火具)を分析する方法ともなったのである。(p1)