言語への愛

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 『言語への愛』
 ジャン=クロード・ミルネール 水声社 1997


 「ララングは快楽を得る」、これが、ここで提出される奇妙な仮説である。しかし、思ったほどに奇妙ではないのだ。なぜなら、ヤコブソンがソシュールの足跡のなかに探査することを引き受けた、無意味の計算を何らかの意味によって活性化させるには、この仮説は欠かせないからだ。音素や韻律を数える際に、そこに秩序や対称性の要請を感じるとしても、それをいささかも認めるべきではない。むしろ〈一なるもの〉に従属する諸要素を、快楽を得るとみなされるある〈他者〉に常に奉仕させることが重要なのだ。他のところでは、女性あるいは神が支えている快楽を越えるもうひとつの快楽、それをここではララングが、恋人たち、神秘主義者、詩人をこの無限点で交差させつつ支えているのである。(p165)