「富」なき時代の資本主義

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 『「富」なき時代の資本主義―マルクス『資本論』を読み直す
 沖公祐 現代書館 2019


 二〇世紀末のグローバリゼーションが行き着いた生産過程の全面的な外部化は、再領土化・再ストック化された資本を本来の姿と見る立場からは、逸脱に映るかもしれない。だが、マルクスの資本の定義からすれば、むしろ、実在する感覚的な身体を失うことによって「幽霊」に相応しい超感覚的な身体を、したがって、資本の「純粋」性を取り戻したと言える。そして、そのことは、資本が社会の内部から社会と社会の間(「空虚」)へと回帰しつつあることを示しているのである。(p168)