マキャヴェリの孤独

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『マキャヴェリの孤独』
 ルイ・アルチュセール 福井和美訳 藤原書店 2001


マキャヴェリが書いたのは、〈民衆〉論でなく〈君主〉論であったこと、彼が恥じらうことなく、それどころか逆に積極的な理屈として、みずからの「身分を、低き卑しき立場」と告げることをしっかり銘記するなら、また、こうした搦め手を『君主論』および『論攷』の内容全体と関連付けるなら、つぎのことは明らかである。マキャヴェリはみずからを民衆に擬して〈君主〉について語り、イタリア統一をなしてくれる誰か君主の実践を「民衆」の視点から心より願い、かつ、その実践を考えているのである。(p421)