ストローブ=ユイレの映画

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『ストローブ=ユイレの映画』
 細川晋編 フィルムアート社 1997

「プロイセンの小さな王[ヴィルヘルム一世]が70年の普仏戦争の後、ドイツ皇帝として戴冠したのはヴェルサイユでした。ティエール氏[フランス第三共和制の初代大統領]とその取り巻きからの至上の贈物です。またゲッベルス以前のドイツにおける宣伝の大家はビスマルクでした。彼が仕掛け人です。ビスマルクはメスを欲しがっていたわけではありませんが、フランス人が彼にメスを与えたんです。当時、誰も抵抗活動などできなかった。メスとパリ。その時、鉄や石炭の鉱山と共に与えられた贈物、戴冠と黄金、それはパリ・コミューン鎮圧を手伝ってくれたことに対するビスマルクへの感謝を表わすものでした。それが僕らの撮った映画です。その中では語られていませんが。マーストリヒト条約による欧州統合の始まり、それはビスマルクによる欧州統合の始まりであり、3万人のパリ市民を殺すことによって達成されたんです。『コレット・ボドッシュ』は美しい欧州の初期の物語であり、僕らは今もそれを必要としているんです」。(p209-10)