
『公然たる敵』
ジャン・ジュネ アルベール・ディシィ編 月曜社 2011
J・G求む、探し求む、すばらしい敵を。敵が見いだされんことを、見いだされはしないことを。求む敵は、まったく無防備で、立っているのもおぼつかなく、その姿さだかならず、ゆるしがたい顔をしているべし。ひと吹きで壊れるような、辱められた奴隷のような、合図一つで窓から見を投げ出す敵。打ち負かされ、目も見えず耳も聞こえず、話すこともできない敵を求む。腕もなければ脚もなく、腹も心臓も性器も頭もない、つまりは完全な敵であり、私の野獣性―それは怠けものすぎて、私だけでは力を発揮しないままだろう―の印を一身に背負う敵たるべし。私は、かぎりなくどこまでも心の底から私を憎むような、完全な敵を求む。(p10)