アンチ・エコノミクス

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『アンチ・エコノミクス』
 ジャック・アタリ/マルク・ギヨーム 法政大学出版局 1986


経済学は縄張りを守って、その縄張りを自己流のやり方で、つまり保守的、帝国主義的、還元主義的に演出しようとする。そこでは人間が、自己の社会的自然的環境と関わりをもたずに、普遍的「本性」をそなえた閉鎖系として立ち現われる。経済学は自己のモデルにとって好都合な部分的人間をとらえて離さないが、しかしこの人間は現実の核心を正確に表わしてはいない。経済学は人々が直面している緊急の諸問題をなおざりにし、むしろ経済学者が提起する諸問題の方へと向かっていく。かくして経済学は経済学者の科学となり、しばしば告発を受けるような専門化の過程を再生産するのである。(p19)