未完のヴァレリー

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『未完のヴァレリー―草稿と解説
 ポール・ヴァレリー 田上竜也・森本淳生編訳 平凡社 2004


 注意のような概念のなかには、多数の異なる概念(努力、強度、持続、停止、知的産物など)が見出されるが、この概念は科学的言語の単位を、〈また既知のやり方で構築可能な概念をも〉絶対に構成できない。〈これは多くの表象を許容する単語なのであり、そうした表象のなかから文脈ないし意図に従って選択がなされるのである。〉 同様の種類の述語と同じく、〔注意という〕この述語は他のものに達したり、それを規定するためにはとても明晰である。それ自体で調べられるとき、不確定なものになるのである。 このため、神経システムと筋肉システムを提示し、「ここに注意がある」と言いたくなる。しかし、注意とは繊維でも、運動でも、‥‥‥妖精でもない。それは反省されていない言語に属する単語なのである。(p96)