映画をわれらに

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『映画をわれらに』
 ルネ・クレール 山口昌子訳 フィルムアート社 1980


フィクションか、現実か? この問題はまずスクリーンのうえでフィクションを現実から切り放すことだ。スクリーンのうえでは、現実もフィクションと同様に、通り過ぎる影にすぎない。(p138)

映画は相対性の星の下に生きている。作家、俳優、作品、そしてそれらが示唆する思想はあっという間に通り過ぎる。この人生の瞬間をとらえる機械であるシネマトグラフは、時間への挑戦を試み、そして時間のほうはスクリーンと関わるあらゆるものの速度を速めることで、恐ろしい復讐を行なっているように見える。(p141)