人類の星の時間

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『人類の星の時間―ツヴァイク全集5
 シュテファン・ツヴァイク 片山敏彦訳 みすず書房 1972


 時間を超えてつづく決定が、或る一定の日附の中に、或るひとときの中に、しばしばただ一分間の中に圧縮されるそんな劇的な緊密の時間、運命を孕むそんな時間は、個人の一生の中でも歴史の経路の中でも稀にしかない。こんな星の時間―私がそう名づけるのは、そんな時間は星のように光を放ってそして不易に、無常変転の闇の上に照るからであるが―こんな星の時間のいくつかを、私はここに、たがいにきわめて相違している時代と様相との中から挙げてみることをこころみた。(p2)