映画の弁証法

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『映画の弁証法』
 エイゼンシュテイン 佐々木能理男訳編 角川文庫 昭和28


 ショットは、組立ての目的のための材料として考えてみると、花崗岩よりも抵抗力がある。この抵抗はショットに特有のものである。ショットは完全な事実上の不可変性を得ようとする傾向をもっているが、この傾向はショットの本性そのものに根ざしている。ところで、この抵抗的なショットを材料にするのがモンタージュである。モンタージュの形式と様式は、豊富であり、かつ多様である。これらのものを、大部分、決定してきたのは、ショットのこの抵抗である。しかも、モンタージュはこれを克服し、自然を再想像するための最も強力な手段となる。真に重要なものは自然の再創造である。(p141)