快楽の活用

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『快楽の活用―性の歴史Ⅱ
 ミシェル・フーコー 田村俶訳 新潮社 1986


旅は事物を若返らせ、そして自己との関係を熟成させるものだ。今や私には、いささか盲目的に、また連続しつつも異なる断片をとおして、いかなる仕方で私が真理の一つの歴史のこうした企てにおいて苦労してきたかが、いっそうよく分かるような気がする。その企てとは、行動や観念の、社会やその《イデオロギー》の分析ではなく、人間存在が自分を思索されうるもの、思索されなければならぬものと見なす手掛りとしての問題構制を、そしてそれが形作られる出発点にある実践を分析することなのだ。(p19)