形而上学入門

ko

『形而上学講義』
 オルテガ・イ・ガセット 杉山武訳 晃洋書房 2009


わたしとしては、本講座をつうじてみなさんが、この緒言につづいてわたしが発する最初の文章を、完璧に理解されることを期待するものです。 その文章というのは、つぎのものです。つまり、われわれはこれから《形而上学》を勉強しようとしている。そしてわれわれがしようとしているそのことは、さしあたり虚偽である。一見、この事態は驚愕すべきことであるが、それがひきおこす驚愕によって、その文章にある真実の度合が軽減されるものではない。くだんの文章においては、―みなさん、よく注意されたいのだが―《形而上学》が虚偽である、とはいわれていなぃ。虚偽性は《形而上学》でなく、それを勉強しはじめることに帰せられている。(p1)