
『マルクスの哲学』
E・バリバール 杉山吉弘訳 法政大学出版局 1995
ただマルクスのその思考が哲学を終わらせただけではなく、むしろその只中に永続的に開かれた問いを惹起せしめたのであり、以後哲学はその問いを糧に生きていくことができ、その問いは哲学を刷新するのに寄与することになる。実際に、常に自己自身に同一な「永遠の哲学」のようなものは何も存在せず、哲学にはさまざまな転換期があり、さまざまな不可逆的な敷居がある。マルクスとともに生起したことは、まさしく哲学の場、諸問題、諸目標の位地移動であり、その位置移動を受け入れることも拒むこともできるが、それを無視しえないほどに十分にわれわれを拘束するに足るものである。そのときから、われわれはついにマルクスの方に立ち返り、彼をおとしめることも裏切ることもせずに、マルクスを哲学者として読むことができるのである。(p7)