山猫の遺言

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『山猫の遺言』
 長谷川四郎 晶文社 1988


恐ろしい本を書いたのは、もちろん、なにも恐ろしがらせるためではなく、みずから反省し人にも反省してもらいたいと思ったからである。歴史は反省の材料としてあるのだ。そして今、私の前に立ちはだかっているのは、「歴史」ではなく、現在そのものである。これはまだ恐ろしくはないだろう。本当は恐ろしいのかも知れないが、それよりも何とも知れずもの悲しい感じが先に立つ。あなたはそういう感じを抱かないだろうか。私はそうなのだ。(p511)