
『家庭用説教集』
ベルトルト・ブレヒト 野村修・長谷川四郎訳 晶文社 1981
この家庭用説教集は読者の用に供される。無意味な読みかじりはしてほしくない。読章第一(祈願)は、直接に読者の感性に訴える。いちどきに多くを読みすぎぬほうがいい。 …読章第二(黙想=精神の訓練)は、むしろ知性に訴える。読むばあいには、ゆっくり繰りかえし、すなおな白紙の気もちで読もうとつとめるがよい。(p13) …読章第三(記録)は、自然の暴力が猛威をふるう季節に、ひもとくのがよかろう。 …読章第四(マハゴニーの歌)は、富裕をほこり、肉体を意識し、自身にあふれているようなときに向く。(p14) …追憶の刻限というか、昔のさまざまなことを思いだす時刻も、一日のうちにはあるものだ、どうかすると。そのような追憶のため、昔のさまざまなことのために、読章第五(ささやかな死者の時)の五つの詩が、読章第四に続いている。…このいささか暗い読章を読んだあとには、さらに終章をも読むのがいい。のみならず、家庭用説教集のどの個所をひらくにしろ、最後にはかならず終章を読むようにしたほうがいいだろう。(p15)