何が映画を走らせるのか?

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『何が何が映画を走らせるのか?』
 山田宏一 草思社 2005


 …要するに映画づくりに真の「芸術的」自由などありえないということなのである。映画は映画館で上映され、観客に切符を買って見てもらわなければ「商売」にならないので、観客を無視した映画のつくりかたは、当然ながら、厳重にチェックされることになる。芸術家の夢が商業主義に踏みにじられ、粉砕される。映画は集団の芸術などといわれるが、それ以上に商業主義の奴隷なのである。監督ひとりの手ではどうにもならない―かと思われるのだが、そんな不自由のなかでも自由に、いきいきと、我が道を往く方法が、「完全主義」か「間に合わせ」かということかと思われる。(p304)