デカダンスの想像力

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『デカダンスの想像力』
 ジャン・ピエロ 渡辺義愛訳 白水社 1987


人間の精神が想像力の世界に対してどのように振る舞い、虚構や夢にどの程度信頼を寄せるか―これは人間の精神の現実と人生に対する一般的な態度とつねに緊密な関わりをもつ事柄である。それほどまでに想像力の世界は、人間の生存のなかで、しばしば均衡と埋め合わせの役割を演じているのである。したがって、世紀末のフランス文学のなかで、想像力が辿った主な道筋の一覧表をつくるためには、その時代の人々の世界観をあらかじめ調査し、形而上学、倫理学、美学の各領域で彼らがもっていた基本的な信念を検討してみなければならない。(p67)