ディオニュソスの労働

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『ディオニュソスの労働―国家形態批判
 アントニオ・ネグリ/マイケル・ハート著
 長原豊・崎山政毅・酒井隆史訳 人文書院 2008

世界はひっくり返ってしまった―決定的に。闘争においてよりも危機においてこそよりよく認識できるはずだ。私たちの存在を抱囲している権力の鉄の檻は、生産性なき寄生的ブルジョワジーの手にみずからすすんで権力を委ねることによって、自分たち自身によって作り上げた代物ではないか、と。私たち自身が編み込むことのできる存在論的縫い糸の構成のただなかに、直接に存在へと投げ込まれる理論的であるとともに実践的でもある方法論の一般的性格を私たちは見つめるのだ。現実の存在論的構成は私たちにとって明確になった。その基準に達するまでに構成されていないものすべては不明確になった。明確性と不明確性の割合はこの時点では、私たちの希望を、あるいはよりよくいえば、私たちのコミュニズム的欲望を、構成的知性や生産的想像力へと預けることのできる私たちの能力に依存している。(p369)