タルド社会学への招待

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『タルド社会学への招待―模倣・犯罪・メディア
 池田祥英 学文社 2009


ネオ・モナドロジーと心間心理学は、前者が非常に抽象的で形而上学的なものであるのに対して、後者はより具体的で現実の二者間関係を想定するなど、内容的にも互いにかなり異質なものである。しかしながら、ともにタルドの社会学理論の特質について社会学を超えた視点から示しているという点では共通しているといえるだろう。ネオ・モナドロジーは、社会をできるだけ小さな構成要素に分解して考えるというタルドの社会学の方向性を表わしたものである。しかしそれにとどまらず、心理的な要素としてみるという考え方を、社会だけでなくあらゆる現象に適用するという点で、社会学を超越した幅広い応用範囲をもつ哲学的な仮説であるといえるだろう。(p57)