ゴダール的方法

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『ゴダール的方法』
 平倉圭 インスクリプト 2010


ゴダールの映画は、ひとつになることとばらばらになることのあいだで振動している。他ならぬことと他でもありうることのあいだで振動しながら、みずからを問いとして提示している。問いは私たちの知覚システムを動揺させるようなかたちで、それぞれひとつの物質的フィルムへと収束している。だが収束など本当にありえたのだろうか?(p65)

失神に抵抗して、論理的に関係を持たない諸要素の「すべて」を同時に自分の身体で受け取めようとするとき、映画は「拷問」となる。だがその拷問を超えて、失神を超えて、映画のすべての音-映像と結合を果たすとき、同時多重性に耐えうる新しい人間の視-聴覚が覚醒するだろう。(p137)