エイゼンシュテイン全集8

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『エイゼンシュテイン全集8―作品の構造について
 第2部 映画―芸術と科学 キネマ旬報社 1984


構造に喜劇的な「アクセント」をつけるのは、克服された古い概念と、古い概念をすでに克服した現代的な概念との正面衝突である。その際、現代的な概念は、より古い観念構造―意識の発展の今日的な段階によって克服された―を克服しているのである。喜劇的な効果は、諸観念―その状況の中で価値と意義が同じであるさまざまなレヴェルに対応する―の対比(爆発を発生させる衝突)によって得られる。笑うのは必ずしも進歩的な状態ではない。〔たとえば〕時代を越えて「生きながらえる」ドン・キホーテの騎士道的ロマンティシズムのように、より遅れた状態が喜劇的状況の中に現れる。このことは興味深い。(p195-6)