詩集 重油富士

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『詩集 重油富士』
 小野十三郎 東京創元社 昭和31


  子供のころ
  隣りにいる奴の
  弁当のおかずが俺は気になった。
  いつもぬすみみした。
  そのくせはまだやまぬ。
  それから五十年たって
  あるへんぴな山奥の高圧線架線工事場で
  隣の男が大きなアルミの弁当箱のフタをあけた。
  おお、みりんぼし!