自己批判

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『自己批判―マルクス主義と階級闘争
 ルイ・アルチュセール 西川長夫訳 福村出版 1978

 われわれはスピノザ主義者であったのだ。もちろん、われわれの流儀でスピノザ主義者であったのであって、ブランシュヴィックの流儀によってではない! つまりわれわれは『神学政治論』や『エチカ』の著者から、彼がそれを許容したとしてもけっして彼のものであるとは認めなかったであろうようないくつかのテーゼを借りてきたのである。だが、スピノザ主義が歴史の異端的な最大の教訓の一つであるとすれば、異端的なスピノザ主義者であることは、ほとんどスピノザ主義の一部をなすことなのである! …声をそろえて、構造主義だと叫び立てるのはなんと簡単なことであったことか! 構造主義は巷にあふれている、またそれはいかなる書物のなかにも見出せないのであるから、それについては誰でもおしゃべりをすることができる。だがスピノザは読まなければならない、またそれが存在していること、つまり今日なおも存在していることを知らねばならない。そこにスピがあることを認めるためには、少なくともスピノザを知らなければならないのである。(p57-8)