眠られぬ労働者たち

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『眠られぬ労働者たち―新しきサンディカの思考
 入江公康 青土社 2008


 だが、それにしても、われわれの不安定な日常は、真剣でありつついつも滑稽だ。何事かをこなし、万事うまくやって、なかなか洗練されたポーズがとれていると自分で思っていても、じつに些細でひょんなことから、たちどころに現実の進行が渋滞し始める。その歩みは跛行し、物事はすぐさまチグハグになり、そのように、とつじょ滑稽へと突き落とされてしまうのである。あるいは真剣であること自体がもはや滑稽でもありえる。こういう経験は苦境に陥ったことがある者なら、それを生きている者なら、誰しももちうることだろう。有り体にいえば、不安定な者や貧者は日々そのチグハグさを生きている。(p5-6)