
『宮廷人と異端者―ライプニッツとスピノザ、そして近代における神』
M.スチュアート 桜井直文・朝倉友海訳 書肆心水 2011
スピノザの〔大文字の〕自然のもっとも重要な特徴は、そしてそれは、ある意味で、かれの哲学の核心でもあるのだが、その自然が原理的に理解可能、あるいは、把握可能であるということである。かれの哲学は、その深層において、つぎのようなことに対する確信の宣言である。すなわち、世界のなかにはどんな究極の神秘〔最終的には神秘としか言いようのないもの〕も存在しないということ、いいかえれば、恣意的な決定をなすような〔意図の〕測りがたい神々は存在せず、推論にもとづく探究に(たとえそれが本質的に終わりなきものであろうと)服さないどんな現象も存在しないということ、要するに、われわれはかならずしもすべてを知らないとしても、知りえないものはなにもない、ということである。(p202)