大阪案内

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 『大阪案内』
 東出清光編 大阪之商品編輯部 昭11

大阪は日本経済産業の心臓である。国内は勿論、東洋へ、更に全世界へと、こゝから脈搏を打つてゐる。されば大阪に触れることは、現実日本の心音に触れ、従つて日本の生命に触れることである。今や新興帝国の威力と共に、大大阪にまで膨脹せる商工都は、面貌に、規模に、組織に、文化に、歓楽に、殊に盛大なる工業と殷賑なる商業とにおいて、まさに世界に冠絶するといつて過言でない。況んや、神武東征以来、国都として、都市として、帝国の核心をなし来り、史跡故址に乏しからざる上、近郊に発展せる名勝楽苑に富み且つ交通八達、京へ、神戸へ、奈良へ、和歌山へ、遠く神都、南紀また一瞬にして到り、観覧の都として、他に比がない。されば、大阪は現代生活の模型であり、その儘に大博覧会場である。少なくとも一年に一度はこの現実を接触観覧しなくては今日のスピードに遅れるであらう。(p1-2)