入門ユダヤ思想

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 『入門ユダヤ思想』
 合田正人 筑摩書房 2017


 ユダヤと非ユダヤが分割され、双方がその差異を際立たせようとするときにこそ、その「共通性」を探らねばならない。といっても、「共通な」何かがあるわけではなく、それをむしろ発見し創出しなければならないのだ。本書で「類似」「無限小の差異」を話題にするのもそのためだ。それは関係がないかに見えるところに関係を見出すことでもある。モンテーニュは『エセー』で無辺広大な時空を描きながらも、自分は「私」のことしか書かなかったと言った。それと同じく、《ユダヤ》においても、各人の「私」のことが問題なのだ。(p22)