マルクスの亡霊たち

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『マルクスの亡霊たち』
 ジャック・デリダ 増田一夫訳 藤原書店 2007


少しのあいだ、マルクスのテクストにおいて、そしてとりわけ『資本論』において、(使用価値と交換価値とのあいだの)価値、秘密、神秘的なもの、謎、物神、イデオロギー的なものが連鎖を形成する場に身を置いてみよう。そして少なくとも、一つの指標にすぎないが、この連鎖の亡霊的な運動を示すことを試みてみよう。その運動は、まさしく舞台が、一切の舞台なるものがわれわれの盲目の目を開こうとする際にその目から見えなくしてしまう当のものの概念を形成する際に、舞台上に演出されるのである。ところで、この概念はたしかに何らかの憑在との参照において構築されるのである。(p309)