マルクスのアクチュアリティ

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『マルクスのアクチュアリティ―マルクスを再読する意味
 植村邦彦 新泉社 2006


目的論や還元論、「世界史的必然性」といった言説は、一種の判断停止であり、具体的な状況に対応する実践の多様な可能性を阻害することによって、むしろ現状維持に貢献する思考だと言うこともできるかもしれない。それに対して、「現在の市民社会の組織全体/その時々の現実の生活諸関係」の分析を通して多様な可能性を探る「非決定論的な」態度こそ、私たちがいま一九世紀のマルクスの中に読みとるべきものなのではないだろうか。(p21)