パースの思想

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『パースの思想―記号論と認知言語学
 有馬道子 岩波書店 2001


 パースはライプニッツの数学的連続性を知っていたのみならず、ライプニッツが歴史的連続性を含む連続性の法則(ぼんやりとではあるが、おそらくカオスからの発展性ということをも含めて)の重要性を認識していたことに敬意をはらい、数学の「無限大」から着想されたシネキズムによって、論理学から出発して、晩年ついに心と自然のシネキズムを直観としての聖なる「美」において見ようとするようになった。このようにして、たとえばわたしたちが日常生活の中でふと感ずる素朴な自然の直観としての美的感情を個人の行為における(推論)判断の究極的基礎として重視するにいたったのであった。(p24)