ミショー詩集

hm

 『ミショー詩集』
 アンリ・ミショー 小島俊明訳編 思潮社 1969


 オンフルールの人びとは、ラクダが侵入してくるごとに、ラクダ使いたちを特別な疑いぶかい視線でにらむようになった。するとラクダ使いたちは、ラクダの群からはぐれたものはないかどうか、先へ進んでいいものかどうかを見るために、隊商を監視するのである。ところが、ぼくは四日目にはオンフルールを離れねばならなかった。 ぼくは旅人たちの列車をおなじように走らせた。列車は「大広場」を全速力で出発し、車輌の重さにおかまいなく、決然と海の上を突き進んだ、列車は信念に救われて、ひたすら突き進んだ。 ぼくが立ち去らねばならなかったのは残念だが、小蝦や胎貝を漁る者たちのこの小さな町が、すぐさままた平穏にもどるとはとても思えない。(p46)