シャボテンを楽しむ

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 『シャボテンを楽しむ』
 龍膽寺雄 主婦の友社 昭37

 日本砂漠植物研究会は、昭和六年龍膽寺氏によって創立され、氏を主幹として「サボテンと多肉植物」を発行、太平洋戦争中、機関誌の発行は中絶したが、ぼう大な標本植物はよく整理して維持され、戦時中もなお熱心に収集がつづけられた。これは、世界にもまったく例のない珍しいことで、その結果、現在五千種をこえるシャボテン、多肉植物の標本を擁し、日本のシャボテン園芸の水準を、世界的なレベルに引き上げる役割を果たした。終戦後も、月刊誌「カクタス研究」を発行し、また、「シャボテン全種園芸図鑑」「多肉植物園芸図鑑」などを刊行した。戦後最もはなばなしい活動をしている専門営業家や各地の大収集家は、ほとんどこの会の古い会員。本書の写真版は、原産地風景その他二、三を除き、すべて「龍膽寺コレクション標本室」として知られた、この標本室の植物を撮影したもの。(p282)