『わが人生 わが日活ロマンポルノ』
小沼勝 国書刊行会 2012
映画館は、物凄い異物と出会う場所だった。異物と接触するのは、若くなければ中々出来ない。そういう他者を知ること、学ぶことで己の何たるかが分かってくる。(p264)
十七年間のロマンポルノは、血の河のほとりに咲いた徒花と言えなくもない。あるものを表現する時、シュールとかモダニズム、ファルス等は一つの方法にすぎないのであって、それ自体が目的では無いはずだ。映画にリアリティは重要である。しかしリアリティは必ずしもリアリズムを母体としない。この誤解が日本映画界には未だ根強いということは残念だ。(p267)