神話が考える

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『神話が考える―ネットワーク社会の文化論
 福嶋亮大 青土社 2010


かつての「神話」は、おおむね何らかの政治的イデオロギーと、つまり社会を根底から革新しようとする運動と結びつけられていた。しかし、本書で言う神話というのは、そうした古い意味とは関係がなく、むしろもっと単純に情報処理の方程式(アルゴリズム)のことを指している。 (p10-11)

ともあれ、私たちは、集団の欲望とそこから日々生み出される情報を前提にして、何らかの神話を練り上げている。つまり、神話というのは、しくじりや錯覚の多い私たちの主観的な知覚にではなく、あくまで「環境情報」に依拠してつくられるのである。(p18)