日本文化の根底に潜むもの

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『日本文化の根底に潜むもの』
 きだみのる 講談社 1956


私は村の生活を見、次で東京の空氣に触れて歸るとき、フランスの文化は本質的には農村的であるという言葉をよく思い出し、日本の文化に就て、日本の知識人についてさえ同じことが言えないかどうかと考え込む。また東京は、世界の思想潮に於て、そこから先は行き止りの周邊文化地帯であり、日本の民族生活の點からは農業という勞働と生産を擔う部落を起點とする周邊文化ではないかという疑問が出てくる。(p32)