ピエール・クロソウスキー

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『ピエール・クロソウスキー』
 アラン・アルノー 野村英夫・杉原整訳 国文社 1998


 クロソウスキーは「品行が悪い」と、デル・グエルキオは付け加えている。彼は、過去から受けたものを解体し、変形し、変質させる。たしかに、彼はそれを利用しているのである。彼は、彼の経験の名のもとに、それらの伝統のもついっさいの規範的価値に対して異議を申し立てるのである。伝統が昔から彼に着想を与えていることほど確かなことはない。だが彼が伝統にイロニーを適用していることは、それよりもはるかに確実なことなのである。彼が伝統をパロディ化し、戯画化するのは、彼の根源的な目標を実現するためなのである。すなわち、自分が見たものを見させるある場面を創造することである。(p207)