ルネサンス様式の四段階

rw

『ルネサンス様式の四段階
 ―1400年~1700年における文学・美術の変貌
 ワイリー・サイファー 河村錠一郎訳 河出書房新社 1987

いわずもがなのことでしょうが、ルネサンスの四つの様式という大系化は教条主義的に使われるべきものではありません。これらの様式は互いに衝突するもので、またそのまままともに任意の作品に適用されうるといったような閉じた体系ではないのです。これら四つの様式には構造的な相違があるのですが、どんな作家でもあるいは画家でもわざわざ特定の様式でただその公式に合わせてものを描こうとは、しないものです。事実はむしろこうなのです―ヴェルフリンもいっているように、様式というものは世界を見る眼の持ち方から生まれてくるのですが、ルネサンス時代には芸術家がその世界を―あるいはさまざまな複数の世界を―表現し、あるいは意識し、それに構造を与えるのに、四つの顕著な方法があったということなのです。(p4)