絵本の子どもたち

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『絵本のこどもたち―14人の絵本作家の世界
 寺村摩耶子 水声社 2010


いっけん何もおこらないのに、よく見るとあちこちでふしぎなことがおこっている世界。リアルなのにどこか奇妙でユーモラスな世界。くっきりとした輪郭をもつ線と色ですみずみまで描かれた絵によって、日常と不思議とがまるでだまし絵のようにぴったりととけあっている。絵じたいが不思議な物語であり、「ことば」なのである。ページをめくるたび、そうした絵物語と「旅」がひとつになって、わくわくするような、そしてなつかしい世界へと誘いだす。(p72-3)