カラダという書物

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 『カラダという書物』
 笠井叡 書肆山田 2011


人間のカラダの中では「微細な感覚」ほど大きな働きをします。カラダの中では「微細なもの」ほど、その作用は大きいのです。怒っているとか、「喜んでいる」とか、「泣いている」という大きな感覚よりも、カラダの中で「微風のようにそよいでいる感覚」の方が重要なのです。それは、ナイフでカラダを傷つけるより、ある小さなウィルスがカラダの中に入ることの方が、カラダにとっては決定的なことであり得るのと同じです。カラダにとっては、「微細なことほど、巨大」なのです。そして、カラダという書物を読むということは、この大ざっぱな喜びや悲しみよりも、読もうとしなければ存在しているのかどうか分らないような「微細な感覚」を意識することなのです。(p71-2)